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一つ上の先輩の上司と飲んだ。
その方は普段は愛想が良くなく、
上司の方が冗談を言っても上手く返すこともない。
コミュニケーションに内向きなのは人それぞれだけど、いつもあまりにも反応が悪いので、その方を先輩としてあまり尊敬できなかった。
しかし、今日飲んでみて印象が変わった。
お酒を飲みながら話すのが好きな、とても感じのいい方だった。
先輩は自分は人と興味を持つ分野が全然違うから、世間話が弾まないといっていた。(実際、この方は日本で一番有名な国立大学の院で物理学を専攻しており、一方で有名な素人参加型の競技番組に出るほどの運動神経を備えている)
だから、人と仲良くなるには頑張って合わせる努力をしていると言っていたのだった。
自分はそんな先輩の個性を見ずに、そのうつむきがちな様子を見ながら、「自分のことしか考えてない、気が利かないやつ」だと今まで思っていた。
しかし実際は、全然違った。
先輩自身、自分がそういった分野で人と上手くやれないことを自覚して、それでも上手くやるために全力を尽くしていた。正直者であるが上に上手くリアクションが取れないのを変えようとするのではなく、それを自分の個性として受け止めて、その上で人とコミュニケーション築こうと頑張っていたのだ。
先輩に少しの申し訳なさと、自分の偏見に居心地の悪さを感じた。そして、もっと先輩のことを知りたいと思った。
また飲みたいな。